遺贈と相続
遺贈とは、遺言によって自分の財産を無償で他人に与えること

スポンサーlink

遺贈とは

遺贈は、遺言によって財産を他人に無償で与える遺言者の単独の行為です。
遺贈によって、利益を受ける人を「受遺者」といいます。
遺贈には、相続財産の全部または一定の割合を与える包括遺贈遺贈の対象が特定の財産や種類によって個別的に与える特定遺贈があります。

遺贈は贈与とにていますが、遺贈の場合には相続税がかかり、贈与税より税金が安くすむというメリットがありますが、不動産などの登記に必要な登録免許税については、贈与税扱いになります。


包括遺贈
相続人以外の人に、「財産の4分の1を与える」などのように示したものが包括遺贈です。
これは相続人以外の人に対するものですが、相続人に対し同じことをする場合は、実質的に相続分の指定と同じことになります。
また、包括受遺者(もらう人)は、「相続人と同じ権利義務を有します。」(民法990条)
したがって、相続人とともに遺産を共有することになり、債務も承継することになります。また、具体的に財産を取得するには、遺産分割にも参加することになります。

しかし、つぎのように包括受遺者には相続人と異なる点があります。
@ 遺留分権がない
A 代襲相続はない
B 共同相続人が相続を放棄したり、他の包括受遺者が遺贈を放棄したときに、相続分が増加するのは相続人だけで、包括受遺者の持分は増加しない
C 包括受遺者の持分については、登記が第三者に対する対抗要件です
D 法人も包括受遺者になれる

相続人以外の人に全財産を包括遺贈することは、原則としては有効でですが、公序良俗に反するとして無効になった判例があります。(最高裁昭和61.11.20)また、遺留分の減殺請求がなされる可能性もありますので注意が必要です。


特定遺贈
特定遺贈は、遺贈の対象が特異の財産や種類によって指定される場合です。
たとえば、「金200万円をCという人にやる」、「○○市○番地の土地をDにやる」というように特定の遺産を遺贈することが特定遺贈になります。
特定遺贈は、相続人に対してもすることができますが、この場合、その財産は遺産から除かれ、除いた遺産で遺産分割をすることになります。
ただし、その遺贈を受けた場合、その相続人は特別受益者になります。


遺贈と相続の違い

民法での相続は、法定相続のことで、相続人とは法定相続人のことを示しています。
遺贈と相続の相違点
@ 遺贈の場合は、相手が相続人である必要はありませんが、遺産分割方法の指定や相続分を指定する場合の相手は相続人に限られます。
A 遺贈の対象の財産を拒否する場合には、遺贈はそれを放棄するだけでよいが、遺産分割方法の指定の場合は、相続そのものを放棄しない限り放棄はできません。
B 不動産等の登記手続きについて、遺贈の場合は登記義務者たる相続人との共同申請になりますが、遺産分割方法の指定のときは、単独申請で移転登記ができます。
C 登録免許税について、遺贈の場合は贈与扱いになるので相続扱いより高額となります。
D 目的物が農地の場合は、遺贈の場合所有権移転登記に知事の許可が必要ですが、相続は不要となります。


死因贈与

遺贈は遺言による単独の行為ですが、死因贈与あくまでも契約です。
また、この死因贈与契約には遺贈の規定が準用されますので、死因贈与契約を撤回することも可能と解されています。


遺贈の承認と放棄

包括遺贈の場合
放棄する場合は、相続人と同じく、遺言者が死亡したこと、自分に遺贈があることを知ったときから三ヶ月以内に家庭裁判所に放棄の申述をしなければなりません。この手続をしないと承認したものとみなされます。

特定遺贈の場合
遺言者の死亡後は、いつでも遺贈を放棄することができます。(民法986条)
しかし、遺贈を放棄したときの効力は、遺言者が死亡したときに遡って発生することになりますが(民法986条第2項)、長期間を経過して放棄されるといろいろ問題が生じる恐れがありますので、遺贈義務者その他の利害関係人に、催告の権利を与えられています。(民法987条)
すなわち、相当の期間を定めて催告し、その期間内に放棄の意思表示がない場合には、承認したものとみなされます。


スポンサードリンク