成年後見制度を利用できる人・申立費用

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事理弁識能力等が不十分な人

「成年後見制度を利用できるのは、意思能力(事理弁識能力・法律行為に関する弁識能力)が十分でない人」
(意思能力の定義については、現在の民法では定められていませんが、考え方として、「事理を弁識する能力」と「法律行為に関する弁識能力」の2つがあるようです。)

「事理弁識能力等が不十分な人」とは、福祉サービスなどの契約を適切に行うための意思能力が十分でないことをいいます。


高齢者に多くみられる認知症や知的障害、精神障害により事理弁識能力が不十分な場合に、本人だけでいろいろな契約を行うと本人に不利益な場合があります。
それらの行為を「家庭裁判所が選定した援助者」が本人のために行うのが成年後見制度です。

成年後見制度の種類
成年後見制度は、本人の意思能力(判断能力)の程度によりつぎの3つに分けられる
後見類型 判断能力を欠いた状況(財産の管理・処分ができない)で、本人1人では財産管理や財産の処分等の法律行為ができない状況にある人が対象
保佐類型 判断能力が著しく不十分(財産の管理・処分することに常に援助が必要)で、財産管理や財産の処分等の法律行為をすることに常に援助が必要な人が対象
補助類型 判断能力が不十分(保佐や後見の対象に至っていない軽度)で、財産管理や財産の処分等の法律行為に援助が必要な人が対象


意思能力(判断能力)

程度を判断
見当識障害 場所や時間を認識することができず、さらに自分のことや周囲の人達が分からなくなる状態をいいます。
この障害は、本人にとって過去の重要なできごとなどを聞き取り昔の記憶で判断します。
記憶力障害 今日のできごとや最近のニュースなどの最近の記憶で判断します。
認知障害 日常の出来事の理解や日常行為についてのは複合的な動作を理解し行動に移せるかなど、具体的な行為について会話の中で判断します。


程度の判定方法(認知症)
診断の基準として一般に利用されているものは、アメリカの精神医学会作成のDSM-IV-TR(診断統計マニュアル)があります。
また、認知症の有無、程度の簡易知能評価スケールとしては、
@HDS-R(長谷川式認知症スケール)
非認知症・軽度・中等度、やや高度、非常に高度の5段階で評価され、年齢などの記憶、計算、数字の逆唱などの9項目からなる質問と回答で評価して、30点満点中20点以下を認知症の疑いありとされています。

AMMSE(Mini-Mental State Examination)
外国でよく利用されている簡易検査法
場所や時間、計算、作業ができるかなど、11項目からなる質問と回答、作業により評価して、30点満点中22点から26点点を軽度の認知症の疑いあり、21点以下を認知障害の可能性が高いとされます。

他の目安的な判定方法として、日常生活自立支援事業の契約締結判定ガイドライ(社会福祉協議会が作成)があります。
(日常生活自立支援事業の利用希望者に対して本人契約締結能力を確認するためのもの)
これは、コミュニケーション能力、契約の意思確認、基本的情報の確認・見当識の確認、生活状況の概要、将来の計画、援助の必要性に関する認識、契約能力の理解、専門家の意見照会、記憶・意思の持続の確認等が評価項目になっています。



外国人が成年後見制度を利用する場合

日本に住所または居所を有する場合や日本国籍を有する外国人も成年後見制度を利用することが可能です。

また、外国人の本国で後見等の開始原因がある場合は、日本に居住していないときでも、日本に財産をあるときは後見人等の選任が可能です。
ただし、外国人の本国で定める法律の制約を受ける場合があります。


申立書類と費用(法定後見申立)

必要書類(事案により異なる場合があります。)
1.申立書 裁判所に様式あり
2.申立事情説明書 裁判所に様式あり
3.親族関係図、親族の同意書 裁判所に様式あり
4.本人の財産目録 裁判所に様式あり
5.本人の収支状況報告書 裁判所に様式あり
6.後見人等候補者事情説明書 裁判所に様式あり
候補者がいない場合は、裁判所が適任者を探します。
7.代理行為、同意行為について(保佐、補助の場合) 裁判所に様式あり
8.診断書、診断書付票 裁判所に様式(成年後見用)あり(主治医が作成)
特別の事情があり、診断書を提出できないときは、その事情を記載した報告書と、療育手帳の判定書の写や保険師等の報告書、介護支援専門員の報告書(医師からの聞き取り事項)、診療情報提供書などを提出
9.戸籍謄本 本人および後見人等候補者各1通
10.住民票(世帯全部、省略のないもの) 本人および後見人等候補者各1通
11.登記されていないことの証明書 本人
12.愛の手帳の写し
(本人が知的障害者である場合に交付を受ける療育手帳)
交付がある場合
その他として、必要な場合に求められるもの
成年後見人等候補者の身分証明書
固定新評価証明書または納税通知書の写し
精神障害者手帳
身体障害者手帳
介護保険認定書など

法定後見申立費用
収入印紙(申立費用)   800円
★保佐・補助申立にプラスして代理権および同意権を追加追加する場合は、費用が追加されます。
登記費用(登記印紙) 4,000円
送達費用(郵便切手) 後見 2,980円 (500円4枚、80円10枚、20円4枚、10円10枚)
保佐・補助 4,300円(500円4枚、100円5枚、80円20枚、10円20枚)
★上記金額は、裁判所により異なる場合があります。
鑑定費用 5〜10万円(鑑定が困難な場合等には異なる場合があります。)
また、鑑定をしなくても相当と認められるときは、鑑定は不要となります。
(補助の場合には、鑑定はおこなれません。)


手続費用の負担

手続費用
原則
申立をする人が負担することになっています。
例外
特別の事情がある場合(本人の保護のため、かつ、本人保護の必要性が高いことが明確である場合)には、裁判所が本人負担を命ずることがあります。
この場合の手続きとしては、後見等の申立書に理由を記載し、手続費用を本人が負担することを求めることになります。

本人が負担する手続費用の種類
申立て手続料、送達費用、登記費用、鑑定料
(診断書を取得する費用は含まれませんが、後見等が開始した後に事務管理費用として本人に請求することも可能だとの見解があるようですので、管轄の家庭裁判所に確認することが必要です。)


後見等開始の審判までの期間の本人保護

後見等の開始の審判までの間に、身上監護や財産の管理をしなければ本人に不利益が生じる場合があります。このような場合のために、家庭裁判所は、審判前の保全処分(財産管理者の選任や監護に関する指示など)を発令することができることになっています。

保全処分の手続
保全処分は、職権または申立により行うことになりますが、つぎの要件を満たすことが必要です。
要件
1 審判の申立ての審理が継続中であり、審判の効力が発していないこと
2 審判の申立てが認められる見込みがあること(診断書等の証明が必要)

保全処分の申立ては、その理由、申立て要件について疎明(証拠の提出)することにより検討されることになり、保全処分が必要性が高ければ高いほど審判も早く出され、必要があれば後見等の審判と同時に行うことも可能です。
保全処分の効力は、財産の管理に選任される者および申立人に告知されることのより効力が生じることになっています。

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