相続資格の剥奪
相続開始前に相続人資格を剥奪される理由として、推定相続人の意思に反して法律上当然に相続人ではなくなる「相続欠格」と被相続人が相続人としての資格を剥奪する「廃除」があります。

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相続欠格

相続欠格とは、亡くなった人の財産を相続することについて、推定相続人が正義に反するような行為を行った場合、当然に相続資格を失うという制度です。

相続欠格事由として、民法につぎのような規定があります。
@ 故意に被相続人または相続について先順位もしくは同順位者を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために刑に処せられた者
A 被相続人が殺害されたことを知って、これを告知せず、または告訴しなかった者
B 詐欺または強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、またその取消・変更をすることを妨げた者
C 詐欺または強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、または取消し・変更をさせた者
D 相続に関する被相続人の遺言を偽造・変造・破棄・隠匿した者

判例
相続人が自分の有利な遺言を破棄した場合、相続欠格者には当たらないとしています。(最判平成9年1月28日)また、遺言書に欠けていた押印など補充する行為について、遺言者の意思を実現させるために法形式を整える趣旨でされたに過ぎない行為は、欠格事由にはならないとしています。(最判昭和56年4月3日)


廃除

廃除とは、被相続人がこの人には自分の財産を相続させたくないと感じる非行があった場合に、家庭裁判所の審判または調停によって、その推定相続人の相続権を奪う制度です。

廃除はあくまでも被相続人の請求が要件となっていますので、「相続欠格」とは異なり、被相続人との人間関係などが壊れるような行為が対象だといえます。これは、あくまでも客観的な認定が根拠であるため、被相続人の主観的な感情だけでは足りないとされています。

民法では、「遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な屈辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる」と規定されています。
この規定で「遺留分を有する推定相続人」としているのは、兄弟姉妹は「遺留分」を有しないので、兄弟姉妹に相続させたくないと考えときには、他人に全財産を贈与してしまえば目的を達することができるからです。
また、「虐待」や「重大な屈辱」の相手は当然被相続人に対するものですが、「著しい非行」については、必ずしも被相続人に対することを要しないと解されています。

 
廃除手続

廃除は、被相続人自身ですることも、遺言ですることができます。
遺言の場合は、遺言執行者が家庭裁判所に廃除の請求をすることになります。また、廃除の効力は被相続人の死亡のときに遡って生じることになります。

また、廃除の取消しは、被相続人から家庭裁判所に対していつでも請求することができます。また、この取消しは、遺言でもすることができます。


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