遺言の種類と必要性
遺言は、自分の思いを言葉に残すこと、そして人生最後の残された人へのメッセージ。

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近年、遺産相続のトラブルが非常に多くなってきています。

「自分の場合はみんな仲が良いからそんな問題は起こらない」とか、「自分は遺産なんて興味がない」などと言っている人がいますが、いざ相続となると「私だけ、なんで」などと、利害が対立し、欲と得がからんでくるのが人間社会です。

残された人に「思い」や「心」をいくら残しても、それだけではこの社会を生きてはいけません。

遺言は、自分の思いを言葉に残すこと、そして人生最後の残された人へのメッセージです。そのメッセージは、自分が判断能力を失った後やこの世から去った後では、残すことはできません。

遺言に遅すぎることはあっても、「早すぎる」ということありません。


遺言とは

遺言は、本人がこの世を去った後も自分の意思を法的に保障してくれるものです。

「私は財産がないから、遺言とは関係ない」という人もいますか、じっくり考えてみてください。たとえば、預貯金・生命保険・宅地・自動車・貴金属など、思い当たるものはないですか。
むしろ、少ない財産だからこそ大切な人に残してあげたい。その思いを残せるのが遺言なのです。
遺言は、法定相続に優先します。

多くの人は、故人の意思を尊重したいという気持ちがあります。遺言によってその意思を伝えることによって相続紛争を未然に防ぐことができるのです。

遺言に早すぎるということはありません。

遺言は、死に直面したら書くものだと、思い込んでする人がいますが、それでは冷静に書くことが難しくなります。遺言は何回でも書き直すことができますので、元気でいるうちに書くことをおすすめします。



遺言が必要なとき

1. 遺言者の死後、残された者が生活に不安のある場合
子供のいない妻や障害のある子供がいる場合には、その人にできる限り遺産を残し、生活を楽にしてあげることができます。
2. 相続人間にトラブルがある場合
遺言で相続割合や遺産の分割方法を指定しておけば、無駄なトラブルを回避することができます。
3. 事業を継がせたい場合
事業自体を分割することは、その事業自体が成り立たなくなることがあります。
後継者一人に相続させることによって、事業の分散化を防止できます。
4. 法定相続人以外の人に遺産を相続させたい場合
子供の配偶者には、相続権はありません。しかし、その人に特に世話になり、苦労をかけたりした場合、その苦労にむくいるためには一部でも、遺産を与える遺言が必要になります。
5. 法定相続人がいない場合
相続人が一人もいないときは、残された遺産は国に帰属します。でも、遺言で世話になった人に残したり、施設に寄付したりすることができます。


遺言の種類

遺言の内容が問題になるのは、遺言者の死後で、本人に確かめることはできません。
そこで法律は、遺言について厳格な方式を定めています。
法律で定められている遺言の方式には、普通方式特別方式があり、特別方式の遺言は、一般的にはあまり使われていないのが実情です。

普通方式の遺言
@ 自筆証書遺言
これは、もっとも簡易な方式の遺言。本人が自分で、遺言の全文、日付、氏名を自筆で書き、印鑑を押し、自分で保管する遺言です。
この方式は、書換えが簡単にでき費用がかからないというメリットがありますが、日付など書くべき事項が書かれていなかったり、文字の訂正方法が間違っていたりすると、法律的には、この遺言自体が本人の本当の意思なのか判断ができないとみなされ、その遺言自体が無効になってしまいます。
A 公正証書遺言
公証人が本人から内容を聞き取って、公証人が遺言を作成する方式です。
この方式の遺言は、原本、正本、謄本の三通が作成され、原本は公証役場で半永久的に保管され、本人には正本と謄本が渡されます。
紛失、盗難、偽造、変造の心配がありません。字の書けない人でも遺言することができます。また、不動産などの登記手続きが楽にできます。
作成手数料(財産の額により決まる)がかかりますが、法的に間違いのない遺言が作成されます。
B 秘密証書遺言
手続きが複雑で、家庭裁判所の検認も必要で、効力は自筆証書遺言と変わらないため、あまり作成する人は多くありません。しかし、誰にも内容を知られたくないという人には良い方法ではあります。


特別方式の遺言
危急時遺言
@ 死亡危急者遺言
病気、その他の事由によって死亡の危急に迫った者に用いられる遺言方式。
証人3人以上の立会いで、その1人に遺言を口授して行います。そして、口授を受けたものが内容を筆記し、遺言者及び他の証人に読み聞かせたり、閲覧させて各証人が署名押印します。
A 船舶遭難者遺言
自己で船舶が沈没しそうになったときに認められるものです。
証人は2人以上で、口述の筆記は遺言者と証人読み聞かせなくてもよいことになっています。また、この遺言の方式は航空機遭難の場合にも類推適用されると解されています。


隔絶地遺言
@ 伝染病隔離者遺言
伝染病のために、行政処分として隔離されている人は、警察官1人と証人1人以上を立会人で遺言書を作る方式です。
A 在船者遺言
船長または事務員1人と証人2人以上の立会いでつくる方式です。


法律で定められた方式以外の遺言の効果
法律で定められた方式以外の遺言は、法律上の効力はありません。

ビデオによる遺言や口頭によるもの、日付のない自筆証書遺言については法律上は無効になります。
しかし、亡くなった人の意思を尊重することには何ら問題はなく、その遺言が亡くなった人の意思であることが明確である以上、それにそって遺産分割協議をすることはできます。



遺言事項
遺言で定めることのできる事項は、法律で決められています。決められている事項以外の事項に関する遺言でなければ、法律上の効力は認められないことになっています。
ただし、法律上の効力は認められないとしても、法定遺言事項以外の事柄についても遺言することは可能です。

法定の遺言事項は次のとおりです。
@ 父または母による非嫡出子の認知
A 未成年後見人および後見監督人の指定
B 相続人の廃除とその取消し
C 祖先の祭祀主宰者の指定
D 相続分の指定と、その指定の委託
E 遺産分割の方法の指定と、その指定の委託
F 遺産分割の制限
G 遺産分割の場合における相続人間の担保責任の変更
H 遺贈
I 寄付行為
J 遺言執行者の指定とその指定の委託
K 遺贈減殺方法の指定
L 信託


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